傘村トータ

【歌詞考察】 傘村トータ「晴れるまでいっしょ」――言葉で癒すことはできるか?――寄り添いの倫理について

言葉は誰かを癒せるだろうか――《晴れるまでいっしょ》は、過去に傷つけてしまった相手との関係を修復しようとする語り手の姿を描く。完全な共感はできなくても、そばにいるという決意。不完全な言葉で、それでも共にあり続けようとする優しさの倫理を読み解く。
内緒のピアス

【歌詞考察】内緒のピアス『ラベル / 星界』「壊して、定義して」の欲望

内緒のピアス『ラベル / 星界』は、「暴かれたい」「壊されたい」という語りの裏で、「定義されたい」「名付けられたい」という切実な欲望を描く。ラベルが中身を決める時代に、語り手は何を差し出し、何を手放しているのか。その快楽と痛みの構造に迫る。
かいりきベア

【歌詞考察】かいりきベア『ココロドリーム』魔法ではない。それでも唱えたい言葉がある

かいりきベアの『ココロドリーム』は、意味よりも「響き」を、論理よりも「祈り」を選んだ言葉の詩である。「守りたいのに守れない」「助けたいのに助けられない」語り手が、魔法のような詠唱を通して自己効力感を回復していく過程を、丁寧に読み解く。繰り返される「魔法 魔法」、そして「リリカルルカリラ」という言葉の力に、あなた自身の声が重なるかもしれな
いよわ

【歌詞考察】いよわ『わすれモノ』忘れてしまったわたしが、もう一度語る

いよわの『わすれモノ』は、「忘却」「透明化」「疲労」といった現代的な喪失感を抱えながらも、なお他者へ言葉を差し出そうとする歌である。本記事では、喪失と語り直しの構造に注目し、語られなかった「友達になってくれますか」という言葉の再生力を読み解いていく。
OSTER project

【歌詞考察】OSTER project『ストレートネック』整骨院で人生を否定された夜に

まっすぐに生きることは、いまや「矯正」されるべき歪みなのか──OSTER project『ストレートネック』は、社会の中で浮いてしまう“正直者”たちの心の叫びを描く。整骨院という皮肉なモチーフを通じて、自尊を守ることの難しさと、その小さな誇りを浮かび上がらせる一曲である。
いよわ

【歌詞考察】いよわ『わたしは禁忌』「触れたいのに、触れてはいけない」という拒絶とぬくもり

いよわ『わたしは禁忌』は、「寒さ」「禁忌」「幽霊」といったモチーフを通じて、社会の外に立たされた語り手の孤独と葛藤を描く。本記事では、“壊れている自分”を理解されることへの恐れと、なお誰かを愛してしまう矛盾を丁寧に読み解き、現代の「触れられなさ」に潜む感情の複雑さを照らし出す。
マサラダ

【歌詞考察】マサラダ『イレギュラーマン』|ズレたまま始まるために――逸脱を肯定する歌

マサラダの『イレギュラーマン』は、「普通に生きること」ができない者のための歌だ。真っ直ぐ歩けないまま、傷だらけで転がり続ける語り手が、最後には「逸脱する者=イレギュラーマン」として名乗りを上げる。歪んだまま始まるその生き方に、敗北ではない尊厳が宿っている。この歌詞考察では、逸脱・ズレ・不適合といったテーマを軸に、「自らを肯定できないすべての人」に向けて、静かな共鳴を描き出す。
未分類

【歌詞考察】カンザキイオリ『あんたは死んだ』喪失が語り手を壊し、世界の意味を奪うとき

カンザキイオリの『あんたは死んだ』は、ある他者の死をきっかけに、語り手が自己と世界の輪郭を失っていく過程を描いた凄絶な作品である。本記事では、「愛すること」と「喪うこと」のあいだに生まれる自己崩壊の運動をたどりつつ、残された語りの果てに浮かぶ「愛」という名の仮説を丁寧に読み解く。
DECO*27

【歌詞考察】DECO*27『弱虫モンブラン』“本当”が信じられない夜に

愛した記憶が消えていく。「本当」の感情が信じられなくなる。DECO*27の『弱虫モンブラン』は、そんな“感情の不確かさ”に揺れる私たちの心に鋭く触れる。自己喪失、矛盾する言葉、そして愛という名の契約——甘くて脆い「弱さ」の奥に宿る、もう一つの強さを掘り起こす。
LOL

【歌詞考察】LOL『レビテト』承認と毒の倫理

LOLの楽曲『レビテト』は、承認への飢えとそれを否認する毒の言葉が交錯する、現代的な自己愛の歌だ。「鏡」「数字」「幻想」を通じて生を確かめる語り手の姿を読み解くことで、欺瞞に満ちた感情のリアルが立ち上がる。本稿では、人格モード批評スタイルに基づき、彼女の中にある“生きたい”という声を静かに拾い上げていく。