Ayase

【歌詞考察】Ayase『幽霊東京』「透けてしまう存在」の街と希望

都市の光に透けるように、自分という輪郭が曖昧になっていく。Ayase『幽霊東京』は、喪失と希薄化の時代において、それでも「明日を呼ぶ」と願う声を描いた楽曲である。傷ついたまま、それでも生きたいと願う心に寄り添い、その倫理を静かに照らし出す。
jon-YAKITORY

【歌詞考察】jon-YAKITORY『山田PERFECT』が暴く「完璧」という呪縛と自己のゆらぎ

jon-YAKITORY『山田PERFECT』は、「完璧であろうとすること」が生む孤独や虚しさを鋭く描いた楽曲だ。歌詞に込められた苦悩や皮肉、他者との関係性のすれ違いに注目しながら、私たちが直面する“期待される自分”と“本当の自分”のズレを考察する。
カンザキイオリ

【歌詞考察】カンザキイオリ『あの夏が飽和する。』──誰も悪くないという祈りの臨界

人を殺したと語る少女と共に、世界から逃げ出した少年。『あの夏が飽和する。』は、救いも赦しもない夏の中で、それでも誰かとつながろうとした二人の記憶を描く。喪失と共犯、語りえぬ想いが残した“飽和”の感情を静かに読み解く批評記事。
羽生まゐご

【歌詞考察】羽生まゐご『ぼくのかみさま』――灰の向こうに灯るアフター系の狼煙

夕立に溶けるカラスの羽ばたき、地面にのしかかる影の群れ。羽生まゐごの楽曲『ぼくのかみさま』(2024)は、開幕一行目から“世界の終わり”ではなく「世界がぽっかり歯抜けになった後」の静寂へと私たちを投げ込む。本論では少年の狼煙の秘密を探りたい。
DECO*27

【歌詞考察】DECO*27『テレパシ』「あいうぉんちゅーコールが届かない」が映すリスク化された恋と残響

『テレパシ』は、軽快なビートに乗せてリスナーをいたずらっぽく手招きしつつ、“伝わらなさ”という静かな切なさをそっと差し出してくる。「あいうぉんちゅーコールが届かない」という冗談めかした歌詞から、本曲の「もどかしい恋」を描いていく。
ピノキオピー

【歌詞考察】ピノキオピー『神っぽいな』—「“ぽい”の深淵とちいさな祈り

021年の年の瀬に公開されたピノキオピーの『神っぽいな』は耳に残るメロディや鋭い歌詞以上に、たった一語の “ぽい” がわたしたちの暮らし方そのものをそっと映している。この曲は問う。「誰かに見せるための“それっぽい自分”をつくる時、心の芯はどうなっているのか?」と。
なきそ

【歌詞考察】なきそ『化けの花』──咲き戻れない花は誰を映すか

タイトルが示す〈化ける〉は「本来とは異なるものに変ずる」瞬間を凝縮する語である。咲いてしまった花は二度と蕾に戻らない。本稿は、この不可逆性と他者の視線を暴力化する構図から、歌詞に潜む<私>と社会の摩擦を読み解く。
ピノキオピー

【歌詞考察】ピノキオピー『超主人公』「主人公 or DIE」の檻を破壊せよ――〈アフター系〉の余震と〈他者のリスク化〉の閾値

ピノキオピーのボカロ曲『超主人公』(2022)は、Hero と Mob を二項対立で迫り、〈主人公 or DIE〉という極端な選別ロジックを反復させる。本曲を取り上げる理由は明快だ。この空疎な無限ループのなかにどのような希望があるのかを歌詞から探るのである。
ツキミ

【歌詞考察】ツキミ『フォニイ』─嘘と“私”の境界線で踊る声

ツミキによるボーカロイド楽曲『フォニイ』は、2021年に発表されて以降、異例のスピードで再生数を伸ばし、瞬く間に「現代的虚構の象徴」とも呼ぶべき存在となった。この楽曲は、たんに「嘘をつく少女」の物語ではない。それは、自己と他者の関係性が希薄になり、世界そのものがフェイクで満ちているという“現代の不安”を映し出す歌である。
柊マグネタイト

【歌詞考察】柊マグネタイト『テトリス』――崩れ落ちるブロックの狭間で、わからなさを抱きしめる

柊マグネタイト『テトリス』は、半年を経た今も動画サイトで日々コメントを積み上げている。ここでは『テトリス』の歌詞の残酷さを浮き彫りにしていく。ブロックが一瞬で底へ落ちるように、私たちの言葉や感情もセーブの余地なくネットの地表に叩きつけられる残酷さを。