プロフィール
執筆者代表:k-sato
92年福岡生まれ。文芸評論某賞にて最終候補となった経歴を持つ。編集アシスタント、書評・時評・Web ライター活動を経て、現在はボーカロイド楽曲を中心に「歌と言葉」「サブカルチャーと社会」の接合点を再発見する批評ブログ『ボーカロイド歌詞考察アーカイブ』の記事製作・編集を担当している
サイトコンセプト
歌が「言葉」から見放され、サブカルチャーが「社会」との接合点を失ってから、十数年は経過した。
社会学者の見田宗介は『社会学入門』(岩波新書)のなかで、歌謡曲から「時代の空気」を描いた。
その弟子の宮台真司は『サブカルチャー神話解体』(ちくま文庫)で、ヒットソングから視聴者の「実存」に肉薄した。
哲学者の東浩紀は『動物化するポストモダン』のなかで、サブカルチャーから「日本」の形を見出し、評論家の宇野常寛は『ゼロ年代の想像力』において、オタクたちを喝破した。
このように歌やサブカルチャーは心や社会の接合点として存在した。
そんな時代から十数年は経過し、多くのサブカルチャーは答えありきの「謎解きゲーム」と化していることは多くの人が認めるところだろう。
しかし、このサイトでは、そんな接合点をもう一度呼び戻すことを目的としている。そして、そのようなことが可能であると音楽評論家である鮎川ぱてが示してくれた。氏に倣い、本サイトは「ボーカロイド音楽」に着目している。歌でありながら、既にサブカルチャーの巨大なジャンルとして確立されているボカロ曲にはそのポテンシャルがある。
書評や時評、webライターとしての活動を経た今でも「接合点」の夢をみる。
まだ十代半ばだった頃、無邪気に親しんでいたものが、文章によって心と社会と歴史に結びつくことを知った。世界が新しく見えた。その感覚を伝えたい。 前述の見田は次のような一文を残している。「今ここに一つの花が開く時、すでに世界は新しい」(『現代社会はどこに向かうか』(岩波新書))。本サイトの記事のひとつひとつは花である。この花が、読者の世界を新しくすることがあれば、それは筆者として望外の喜びだ。